
10月10日は「世界メンタルヘルスデー」でした。
先月の放送になりますが、
この日にぴったりの番組があったのでご紹介したいと思います。
NHKスペシャル 病への挑戦 第2集「うつ病 克服へのカギ」です。
番組では、うつ病研究の最前線+αが盛りだくさんに紹介されていました。
今回はその中から、特にすぐ役立つ4つのテーマに絞ってお伝えします。
1.「心理的ストレスがなぜうつ病を引き起こすのか?」
これまでうつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」の不足によって起きると
考えられてきました(私も授業や研修などでそのように伝えてきました)。
しかし最新の研究では、
人間関係の悪化や喪失体験などの心理的ストレスを受けると、
セロトニンの減少と共に「シナプス(神経細胞同士のつなぎ目)」が減少し、
脳の神経ネットワークが萎縮することでうつ病が起こることがわかってきたのです。
2.「カウンセリングが効く!」
そこで、うつ病からの回復には「セロトニンの増加」と共に
「シナプスの再構築」が必要になります。
抗うつ薬は双方に効果を発揮しますし、最近では微弱な電流(tDCS※日本未承認)や磁気(rTMS※2019年より一部保険適用)で脳を刺激し、
神経栄養因子を分泌させてシナプスを回復させる最新治療も注目されています。
そしてナント、ここで大きなカギとなるのが、
従来から行われて来ている「カウンセリング」。
番組に出演されていた女優の南果歩さんは、50代でうつ病を経験された際、
「回復にカウンセリングが一番効果があった。無反応だった自分の中で、
心が動いた瞬間がわかった」と実体験を語られていました。
順天堂大学の加藤忠史教授によると、「カウンセリングや認知行動療法で
新しい考え方や行動を繰り返し学ぶことで、
感情や認知に関わる神経ネットワークが変化し、症状が改善していく」とのこと。
やはり40代でうつ病を経験したと言う司会のリリー・フランキーさんも、
「断線したものが引っ付いていく感じですね」とおっしゃっていました。
カウンセリングという「対話刺激」を通して、脳の回路が再びつながっていく。
「話すこと」が、脳のネットワークの再構築にも役立つアプローチなのだと、
改めて確認しました。
3.「心理的ストレスだけじゃない?体がうつ病を引き起こす」
さらに驚きだったのは、神経ネットワークの萎縮を引き起こす裏に
「脳の炎症」が存在していたことです。
本来は脳を守るはずの免疫細胞「ミクログリア」が、ストレスによって暴走し、
脳内に炎症を起こしてしまうのだそう。
この「脳の炎症」に深く関わっていることの1つが「肥満」。
脂肪細胞が急激に増大して酸素不足になると細胞死を起こし、
大量の炎症物質が発生。それが血管を通って脳に届き、
神経ネットワークを萎縮させてしまうのです。
「心(心理的ストレス)」だけでなく、「体(肥満など)」が
うつ病のリスクを高めているという事実に、
出演者の皆さんも驚きを隠せない様子でした。
ちなみに、この体の炎症レベルを示す「CRP値」は、
私が普段授業などで「健康長寿」の話をする際にも必ず取り上げている数値です。
体の炎症を抑えることが、心身の健康を守るポイントなんですね。
4.「食事が効く!」
では、どうすれば体の炎症を防ぎ、うつ病を予防・改善できるのでしょうか?
その答えの一つが「食事」です。
注意したい食事(うつ病のリスクを高める):
ジャンクフードなどの「超加工食品」。過剰に摂ると腸内で炎症が起き、
それが神経や血管を通って脳に到達。脳内にも炎症が伝わり、
神経ネットワークの萎縮につながることが示唆されています。
おすすめの食事(うつ病のリスクを低くする):
オーストラリア・ディーキン大学のフェリス・ジャッカ教授が推奨する、
野菜や果物、発酵食品など腸内環境を整える食事。腸内細菌の多様性が高まります。
ジャッカ教授らの研究では、食事指導を受けた患者さんの約3割で
うつ症状が改善したという驚きの結果が出ており、世界中から注目を集めています。
研究参加者の「良い食事は体の栄養になるだけでなく、心や精神も育んでくれる」という言葉が印象的でした。
おわりに
うつ病の治療や予防に関する研究は、日々進歩しています。
最新の知見を知ると同時に、従来から行われてきた「話すこと(カウンセリング)」や「食べること(毎日の食事)」が、いかに私たちの脳と心を再生させてくれているかがよく分かります。
一見当たり前にしている「話すこと」「食べること」をちょこっと見直して、
少しでも健やかな日々が送れると嬉しいですね♪
